入院初期の看護ケアの注意点

入院初期の患者によく見られる傾向は、自身が病気であるという自覚がない、自分の静養に集中できないなどが挙げられる。そのため、中には治療の大切さをさほど自覚しておらず、薬の服用を拒否する患者もいるほどだ。

セルフケアレベルの低下を招いていることがほとんどである。思考力や見識力が低下しているような場合、入院時のオリエンテーションにおける説明を全て聞き取ったり、理解することが困難な状態にあることも多い。

そのため、この時期の看護ケアは患者の状況に合わせて工夫し提供することが求められるだろう。例えば、マニュアル通りのオリエンテーションではなく、患者の理解が追いついているかを確認しながら、患者に合わせたわかりやすい説明が重要だ。

加えて、看護師は患者のセルフケアレベルを正確に査定して、それに合わせた看護ケアを提供していくことになる。特に急性期にあたる患者の場合、十分な栄養と休息を確保できるような援助が必要である。

患者との距離感をはかりながら状態を理解し、一緒に解決していこうとしている支援者であることをきちんと伝えておくことも大事だ。

また、高齢者や精神疾患を抱えての入院の場合、入院初期は自分の状態を理解できていなかったり、薬物療法による副作用で不安を抱え、投薬を拒否する場合がある。

看護師は、患者の気持ちに寄り添い、傾聴し、薬物療法の必要性についてわかりやすい説明をして理解を求めていくことが必要だ。

副作用に対する対処法を一緒に考えたり、患者が納得して服用できるような心理教育を行うことが有効だろう。

このように、患者に応じた対処法を一緒に考えるという視点を持ちながら、満足度の高い看護ケアの提供に努めることが大切である。